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記録

p4cの実践、日々を過ごしていて気づいたことについて書いています。

竹内レッスン

竹内敏晴のレッスンの映像を見た。お弟子さんたちが行っている映像はこれまで何度も見たが、竹内自身が動いて、声を掛ける姿を見るのは初めてだった。


今から30年くらい前の映像で、NHKが制作した若者向けの番組だった。スタジオでは、若手の論客とおぼしき司会者、ご意見番のような年配の男性、若い女性アナウンサーの3人が進行を行っていた。10代後半~20代くらいの若者たちが、司会進行の3人の横に4,5人、その後ろに数十人、2つのかたまりになって座っている。皆、ひらがなの名札を胸につけて座っている。事前に若者たちが竹内敏晴のレッスンに参加した映像が流れ、それを受けてスタジオで意見が交わされる、という番組の構成だった。


まずレッスン映像が流れる。「都内某日」という文字のテロップが、時代を感じさせる丸みがかったフォントで表示され、若者たちが地下にあるスタジオに入っていく。体の緊張を取るためのワークを行い、声を出して変化を感じる練習を体験する。形に多少の違いはあるが、今まで自分が習ったり、練習している方法と重なる部分が多かった。竹内敏晴は、写真でみるよりも若かったが、若者たちよりは大分年齢が上で、貫禄があった。穏やかな声と、ゆったりとした動き。いかにも、若者たちにとっての導師という感じがした。


途中、ある女性が集中的に取り上げられる場面があった。声が小さく、相手に声をかける場面でも、相手から「自分に話しかけれらてきる気がしない」と言われて困っていた。その女性が、番組?のオーディションに参加したときの映像が流れる。一生懸命に話しているが、首が縮まって肩が上がり、見ているだけで自信のなさが伝わってくるような話し方だった。


竹内は、その子が話している様子はこうだと、真似してみせた。それから、「あなたの声が出たがっているのが見える」というようなことを言った。何かを声に出した後、すっと後ろに下がってしまっている、と真似をして指摘されると、女性は納得したような様子だった。

気になったのは、その後だった。その女性の声の出し方を変えるべく、歌を歌ったり、大声を出したりしている映像が流れる。竹内が横に立ってアドバイスをしながら、何度も何度も繰り返し大声を出している。その様子は、あまり好きではなかった。なんというか、無理矢理やらされている感じがあった。もうそれ以上はやめてあげてほしいと思った。


スタジオの映像に戻り、その女性が司会者たちと言葉を交わしている。司会者が「どう?あれから変わった?実際に今やってみてよ」と言って、スタジオの端の方へ行き、女性に声を出すように促した。女性が自分の名前を声に出したが、その声は小さく、スタジオに期待が裏切られたときに起こる、拍子抜けだという笑いが起こった。


女性は、その後、竹内レッスンの感想して肯定的な意見を言いながらも「これまで自分の人生で培ってきたものは、いきなり変えるのは難しい」というようなことを言っていた。何度も繰り返された声を出す練習は良いことだったのだろうかと疑問に思った。女性の姿に自分を重ねて、自分だったら嫌だなと思った、というだけのことかもしれない。

竹内の本には、「劇的な変化」が書かれていることがある。ある人が突然大きな声が出るようになった参加者とか、レッスンのあと下痢になり、一気に毒が抜けたように表情が変わった参加者とか。実際、竹内の実力を持ってすればそのようなことはありうると思う。


ただ、そういった話を受け止める側には注意が必要だと思う。基本的には、劇的な変化や一発逆転ということは起こらないような気がしている。劇的な効果があったと思っても、それは勘違いだったり、そう思いたいという願望が見せる幻想であることが多い。 向上していくには小さな変化の積み重ね以外にないと思う。無理矢理声が出るようになったところで、次の日にはもとに戻るだろう。

 
 
 

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