代稽古
- 菱田伊駒
- 2018年7月20日
- 読了時間: 2分
ここ最近、合気道の稽古が楽しい。稽古に行くと、人がたくさんいて、話をしたり、技をかけあったりする。他の人がにぎやかに喋っているのを心地よく聞けるのは、珍しい機会だと思う。道場には、日常とは違った時間が流れている。
昨日の稽古は、K先生が海外遠征中のため、M本さんの代稽古だった。稽古をしていると、上手くいくこと、上手くいっていないことがそれぞれ感じられる。こういう時は、充実した稽古なのだと思う。上手くいっていない動きについても、この方向性で稽古していけばよいのでは、と課題意識を持って取り組める。自分が上達する予感がなんとなくあり、何度も動きを確かめてみたくなる。普段は、2回ずつ技を掛け合うところを、お願いして回数を増やしたり、スローで動きながら体にかかる力、形を確認した。M本さんの言ったことを実現しようと思うと、自然と丁寧な稽古になっていった。
上達する予感というのはなかなか貴重だ。初心者のうちは、とりあえずの動きをなぞるだけになってしまう。どちらかが上級者であれば、初心者に改善の方向を示すような声かけをしてくれる。お互い初心者同士で組むと、二人ともわけがわからないという状態になって、見た目だけの動きをなぞるが「これでいいのだろうか?」という迷いが生まれる。お互いそう思っているので、ぎこちない技の掛け合いになる。それでも、どうしてよいか分からないので「難しいですね」などと、お茶を濁すようなことを言いながら動きを繰り返す。
そういう時、M本さんが近づいてきて、手を添えて体の形を確かめてくれる。あるいは、一緒になって掛かり稽古をしてくれる。ある瞬間、自分の肩甲骨から手の平までがつながった感覚があり、「あっ」と思う。その時、M本さんもぼくの感覚が伝わったようで「うん、それでいいよ」と言う。この方向でよいのだ、と背中を押された気になり、安心した。
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