p4cで使った手紙
- 菱田伊駒
- 2018年1月7日
- 読了時間: 3分
p4cに参加してくれた4年生の男の子に、こんな手紙を書いた。
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エクスペクトパトローナムさんへ
※「エクス~」はその日のp4cの哲学ネーム
土曜日は、子ども哲学に来てくれてありがとう。
この手紙では、子ども哲学が終わってから、ぼくがもう少し考えてみたいと思ったことを書きます。エクスペクトパトローナムさんも、一緒に考えてみてください。そして、また次に会ったときに考えたことを教えてくれると、嬉しいです。
土曜日は、アイヌの話を聞いて、その後、粘土遊びをしました。ぼくが、面白いと思ったのは、粘土遊びをしながら、エクスペクトパトローナムさんが言っていたことです。
エクスペクトパトローナムさんは、粘土で何を作るか、みんなで考えていたときに、「何も考えずに手を動かして、思うままに作ると、いい作品ができる」と言っていました。そして、作りながら「何も考えないようにしていたけど、壺(つぼ)を作ろうとしてしまった・・・」と残念そうにしていました。
子ども哲学がおわったあと、ぼくは、哲学の先生が教えてくれたことを思い出していました。
「文章を書く人は、もともと自分の頭の中にある『書きたいこと』を書くのではありません。頭の中がごちゃごちゃで、よくわからないまま、ペンを握って紙に向かう。文章を書き終わってから、何を書きたかったかを知るのです。」
先生はそう言っていました。
学校で「何か意見のある人?」と聞かれることがあると思います。頑張って意見を考えてから、手をあげるのが普通かもしれません。でも、もしかすると、とりあえず手をあげてみて、みんなの前にたってみるのも、いいのかもしれません。そうすると、意見がうかぶのかも。こんなことを考えながら、ぼくはこんな「問い」を思いつきました。
問い→やってみるまえは、よくわからないことが多いです。でも、とりあえずやってみると段々楽しくなってくることがあります。(ぼくは、勉強がそうでした。ずっと勉強が嫌いだったけど、最近は楽しいです) これは、どうしてだろう?
エクスペクトパトローナムさんは、どう思いますか?こういう気持ちになったことはありますか?おうちの人とも話してみてください。
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手紙を読んで、もし何か考えたことがあればそれをテーマに次のp4cをやろうということになっていた。そして次のp4cの時、男の子が教室に入ってきてこう言った。自分はこの手紙を読んで色々考えてきたけど、まずは何も考えずに教室に入って、そこで思いついたことを話そうと思った、と。
とんちが効いた答えだと思った。しかし、本人はしごく真面目で、むしろ色々考えた結果、最もよい考えだという様子だった。
結局、彼が思いついたアイデアから、なぜだか死刑制度の話になって、どうして人は人を殺してしまうのだろうか、とか、死刑にすると、その人が変わってしまうチャンスを奪ってしまうのではないか、人は本当に変われるのだろうか、と思わぬ方向に話は進んでいった。
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